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こちらブータン気象台・完

こちらブータン気象台・完

天気予報訓練状況1か月目

2007-08-03
天気予報の訓練の状況報告(訓練1か月経過時点)

1.訓練目的
ブータンの気象部門において天気予報業務を開始し、
継続的な改良が可能な環境を整備できる人材育成を目的に天気予報訓練を実施する。

2.訓練方法
 1)基本方針
  気象部門の基本計画に基づき、実施担当者が実施する。
  この担当者に対してSVの支援が加わる。
  また、詳細な事項についても、できるだけ受講者が決定する。

 2)訓練期間・対象者等
  気象部門の計画により実施される。

 3)訓練の実施方針
  a) 業務志向
   業務と同じ内容を実施する
   ブータン全国の3日間予報を行う
   全員ができることを目標とする
   全部の業務をひとりで時間内にできること
   将来像が直接的に意識可能
   問題点、改善点が明確になる
  b) 自己決定志向
   訓練の中から問題点を抽出し、その解決を図る
   部分の分担ではなく、自己完結をめざす
   業務の実施方法についてのアイデアを出す
   自己判断、自己責任、自己決定に慣れる
  c) 説明志向
   予報結果、予報根拠について説明できる
   情報サービスとしての説明手法に慣れる
   科学的に検証できる

 4)訓練内容の範囲
  基礎的分野の理解を含める
   基礎的理数系分野:調査方法、統計、理科用語
  気象分野の基本的知識:力学、雲物理、数値予報、防災
  雲物理の一般的分野:標準大気、雲・降水機構

 5)訓練日の訓練スケジュール
  09:45-10:00 SYNOP観測:10時
  10:00-11:45 テーマ演習
  11:45-12:00 SYNOP観測:12時
  14:00-14:45 予報データの収集、解析
  14:45-15:00 SYNOP観測:15時
  15:00-15:30 天気予報作業
  15:30-16:00 討論

3.訓練実施状況
7月9日に訓練が開始した。
原則的には月曜日には、訓練に向けての各種準備等が実施され、
火曜日から金曜日まで連続で訓練が実施されている。
これまでの主要な訓練テーマは下記の通りである。
 10日:訓練全体への理解
 11日:最終予報作業の試行と問題点の抽出
 12日~20日:ブータン気候図の作成
 12日:ブータン気候図への理解、対象地点の選択・データ収集
 13日、17日:選定地点の月別気温・降水量のグラフ化
 19日:地点別グラフの気候的解析
 20日:ブータン気候図の作成
 24日:抽出された全問題点への対応についての討論
 25日~3日:気温ガイダンスの作成
 25日:気温データの2地点解析方法の理解
 26日:2地点解析の試行と評価(日別を断念し月別を利用)
 27日:2地点解析の再計算と評価
 31日:ガイダンス全体像の理解、気温ガイダンス作成方法の確認
 1日、2日:2地点解析の計算(直線回帰、相関係数)
 3日:2地点解析の計算結果について討論

4.訓練によって明確化した問題点
 1)気象部門に関連する事項
 ・現行業務の対処のために参加困難な職員への対応
 ・新業務へ向けて人員不足が予想される
 ・新業務の開始時期に関連して必要な訓練期間の確認

 2)観測業務に関連する事項
 ・天気現象を把握するためのSYNOP観測の観測地点がここだけである
 ・観測データの信頼性が不足し日別データを使えずに月別データに切替えた
 ・観測項目としての天気現象の定義確認

 3)訓練内容に関連する事項
 ・予報作業量が多い:解決策=ブータン・ガイダンスの作成・利用
 ・代表地点と周辺地点との相関関係が不明:解析を実施
 ・2点のメテオグラムを補完するブータン・ガイダンスが必要:作成
 ・SYNOPの記録方法と正確性の向上:今後検討
 ・メテオグラムの読み方、特に高湿度部分の解釈:今後実施
 ・雲のタイプへの理解:今後実施
 ・雲形と降水との関係への理解:今後実施
 ・山の天気への理解:今後実施
 ・事例解析の材料(例、1994年4月のHaaの降水量データ):今後検討
 ・仮作成した気候図の扱い、区分、理由、限界、妥当性:今後検討
 ・予報用語の定義:今後検討

 4)その他
 ・PCなどの機材が不足している:今後検討
 ・カラープリンターの必要性:今後検討
 ・Webデータを入手できない場合がある:そのつど対処
 ・観測データを入手できない場合がある:今後検討

5.今後の訓練予定
 8月:季節的変化が始まる
  天気ガイダンスの作成
  天気現象への理解:雲と降水現象、山の天気
 9月:季節的な条件が変換する
  高層天気図、衛星画像の読解
  最終的業務訓練

6.訓練終了後の計画案
 1)訓練のフォローアップ
  ケース・スタディ
  乾季の予報

 2)正規業務への移行
  日常業務化へのフォロー
  利用者からのフィードバック

 3)国内周知
  業務枠組みの理解を得る
  天気関連知識の普及

 4)今後の向上計画
  天気予報の精度向上
  天気情報の利用度向上

以上、報告書から一部抜粋。
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